11月18日
散髪に行った。散髪屋のおっさんがよく話しかけてくる。
「進撃の巨人の作者おるやろ。アイツ、自分の嫁はん殺したらしいな」
と俺も知らんニュースを教えてくれる。
西村賢太の『蠕動で渉れ、汚泥の川を』を読んだ。久しぶりに読んだ西村賢太。相変わらずオモロい。
11月21日
『高い城の男』を読んだ。田上が、ボンヤリ三角の装飾品いじるトコが良かった。アマプラのドラマはもう1話目で、続きを観るのめんどくさくなった。
こないだスコさん(祖母)から五千円貰ったので「パウル・ツェラン全詩集」をなんか凄そうだったから買った。死の感じが重いので読むのに時間がかかる。
晩い赤のなかに 名前たちが眠っているーー
一つを
お前の夜が 目覚めさせ
そして 導いていくのだ、白い棒たちで
(晩い赤のなかに)
最近はルー・リード詩集とボブ・ディラン詩集とジム・モリスン詩集とパゾリーニ詩集とトラークル詩集をずっと欲しいと思っているが、外国の詩集はなんであんな高いのだろうか。金が無いから手が出ない。
よしもと芸人のニューヨークのYouTubeチャンネルが下世話で面白い。女好きの感じが全面に出ていていい。
カジサックぐらいになると、金儲けが全面に出すぎて鬱陶しくなるので、今ぐらいのあんまり売れてない感じが良い。
最近見つけたストマックというギャンブル依存症の人のチャンネルもやたらに面白い。電車が来ても逃げない駅のホームのハトに「生きろっつってんだよ!!!」と全力で叫び、ハトが空に飛び上がり、次の瞬間、目の前を通り過ぎる電車の窓ガラスに反射する自分の姿という一連のシーンをみて感動してハマった。
他にも、ペットショップへ行って、可愛い小型犬を愛でる回。三十五万を持っているので、買えるのだが、「今の自分には幸せにすることができねえんだよ!」と叫び、自分の握り拳を映すシーン。
叙々苑の焼肉を食った帰りに、夜景に向かって「心がさあ、心が寂しいんだよ!!」と叫ぶシーン。とにかく街中で叫ぶ人である。
昔はこういう人たちが他に表現方法が無いから、小説を書いたりしたんだろう。宇野浩二とか葛西善蔵に通ずる、自己演出を心得た現代の文学的YouTuberだと思う。
一方で「文学YouTuber」を自ずから標榜する人も世の中にはいるが、こちらは余り文学を好きな感じがしない。金が好きそうである。
11月22日
夜、探偵!ナイトスクープをみた。竹山とのキスを忘れたい男の依頼でめちゃくちゃ笑うた。ここ数年で、いちばん好きな依頼者の、確か3度目の依頼である。ああいう、童貞を拗らせた人間の発する変な空気感は大好きである。この日に残しておいたに違いない。
最後、局長が松本人志に変わった瞬間はやはり感動した。おれが物心ついたころから西田局長だった。あの当時は本当に面白かった。
個人的に好きな依頼トップ5
・ゾンビ対策をしている三兄弟の元に、ある日本当にゾンビがやって来て、皆がパニックになって、長男だけが極限状態で闘うことを決めた回
・まずいレストランに竹山が行くと、ダウナーなおばはん店主が出てきて、カッチカチに冷凍された鶏肉をそのまま低温の油で揚げたチキンカツが出てくる回
・奈良から大阪の会社へ、大和川をボートで下った方がJRより速く着くのではないかと、果敢にチャレンジして紆余曲折しながら通勤する回
・寛平が、大阪の田舎の老人たちに昔の恋愛事情を聞いていく回
・パラダイスシリーズで、桂小枝が変なレストランに行き、最終的に、裸でカチカチの豚足を握りしめて屋上のバスタブに入り、寒いので湯を出そうとしたら何も出なかった回
久々に田辺剛さんに、アックス忘年会行きますか? と連絡した。自分は奈良なので金も無いし、今回は行かないことにした。田辺さんは行かないらしい。孤高の人である。おれらみたいなアックスの新人に色々アドバイスして欲しいが、漫画家は各々が勝手に教科書を作り、それは自分にしか読めないので、大事なことほど他人に教えることができないのだと思う。
11月23日
部屋を掃除した。
寄稿した日芸の友達の同人誌が届いていたので読んだ。くすぶった演劇学科生の心の叫びが多かった。演劇学科、映画学科は、とくに周りに芸能人も多いし真面目な人ほど自意識を強要される学科である。
友人のかみなしの文章はふざけているというか、悲痛なエピソードを連ねつつ、笑えて明るいので文芸学科の面目躍如という感じだった。もちろん俺も笑えるように書いた。文章も漫画もできたら人を笑わせたいといつも思う。
昼に啓林堂書店で『オイディプス王』を買った。『アポロンの地獄』という映画を観て爆笑して、それからずっと気になっていた。
夜、ストゼロとワインを飲みすぎた。
『ギルガメシュ叙事詩』を読み終わった。穴だらけでオモロい。
野人エンキドゥが、遊び女とセックスしたら、友達の動物たちが逃げてもうて、力も落ちたが、知恵はついたトコ、オモロい。
大学二年の頃のゼミの先生の句集が出ると知った。大学では、一年の頃は私小説のゼミに入らされていた(佐藤洋二郎先生だった)二年は俳句、三年四年は詩のゼミに入っていた。
俳句は特に難しい。我が強いからである。短歌は強くてもいい。短歌をやっている人は周りにいたが、みな尖っているイメージだった。啄木の影響を受けているのかも知れない。
俳句のゼミの成績はCだった。ゼミ誌に描いたつげ義春風の絵は先生に褒められた。その絵は後に売った。
11月24日
ジャパンカップ、昼頃に少し予想した。オッズ買いの適当買いである。競馬新聞を眺めても宿酔で頭が痛くて集中できぬ。
外れるのが当たり前だと今回も3連単でぶち込むのは百円の十点買いである。あいにく金がなかった。しかし、今回は馬場が重くて混戦の模様。どの馬が差して来てもおかしくないのだ。
⑥-②-①⑤⑧⑨⑩11、14
4-12-1 6 8
村上春樹は毎朝、夢をみるために起きるらしいが、おれも外すために馬券を買うのだぐらいの心持ちで挑んでいる。先日、役所へ赴き、国民年金を免除したこともあり、千円の損失がなんぼのものであろうか? とドッシリ構えている。
麒麟川島の本命が⑥ユーキャンスマイルだったので、これはあるかもしれないと思ったが、まったく外れた。⑤-①-②だった。逃げ馬が強かった。寂寞寂寥虚無憤。そういえばオレはギャンブルが雑魚だったことに気づく。数字が関わるもの全てが苦手なのだ。おれの大脳の、数字にまつわる部分を発達させたい。