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大山の日記未満

日記等

4月22日〜4月24日

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4月22日〜4月24日

4月22日

 朝5時に起きる。絵の練習。デッサンより、クロッキーの方がええぞ。と田辺さんに言われたので、人間を描いた。
 それで新たにスケジュールを立てることにした。初日からノルマは達成できなかったけども、予定は立てることが大事なのだ。守ることは重要ではない。漫画を描きだした。自分は朝型の人間なので夕方には眠くなって、全然捗らなくなる。とりあえず夜までダラダラではあるが描いた。夕飯を食うと二時間ほど寝てしまった。夜眠れなくて、11時から2時まで『浮雲』を読んでたけど注釈が六百ぐらいあって、ページの後ろへ行ったり戻ったり、そこが面倒くさくて仕方ない。
 これを書いたときの二葉亭四迷は23歳らしい。おれと同い年と知って、昔の人はガチってんなと思った。
 近代文学は好きな作家もいるけど、なんか帝大出身とか上流階級が女と遊んで暮らしてる話ばかりで、自分と遠い存在やとおもて、そない熱心には読んでなかった。
 次は自然主義文学とか、おもんなさそうで手つけなかったジャンルも読んでみようと思っている。

4月23日

 朝起きて漫画を描きだした。絵の練習は忘れた。なぜ、こんなに夕方眠くなるのか。漫画を描くのは自分が思っているより体力がいるらしい。ほなら体力をつけた方がええかも知れぬ。
 漫画を描いていると分かってくるのは、漫画と関係がないような事ばかりが大事になってくる。ジョギングをするとか、筋トレするとか。二千年前の小説を読むとか。女にふられるとか。ヤンキーに絡まれるとか。
 夕飯を食って、酎ハイを一杯だけ飲んだら、写真を撮るのも忘れて、即刻寝た。

4月24日

 朝、絵の練習。手元の本の知らん外人の上手いデッサンの模写。夜まで漫画。夜は二階堂の焼酎を飲んで寝る。

 Twitterで、メジャー界隈の漫画家の、エッセイを読むと、大変そうだ。
 よくYouTubeで漫画家とか作家の話を聞くと、漫画家はいつも絵とか技術とか、どうやって人気を得てきたか。みたいな話しかしないので、あまり面白くない。青木雄二は面白いけど。

 漫画家は売れるように描くのが当たり前で、売れるように描くってことは、枠からはみ出さない事なんで、そら単純に、はみ出しものの作家たちの話のほうが面白い。エンタメの漫画は好きだ。でも本当は、ギリギリのところで何とか我を通してしまうような漫画が面白いんだけども、最近はそんな、ふとどき者も減って、出版社の無菌室で培養されたような漫画家が多くなった。
 YouTubeやネットの、漫画家志望へのアドバイスもSNSをやれとか、魅力的なキャラの作り方とか、バクマン。を読めとかハリウッド映画を観ろとか(日本の溝口健二や小津安二郎は名前すら挙がらない)クソの山、というかもはや大便山脈てなもんで、同じ様なことを編集者が言ってんのやろうけども、何というか、若い奴はそれを鵜呑みにする素直な奴が多すぎる。
 多少干されたり、仕事が無くなっても上等じゃねえか。ガード下酔いどれ人生よりマシ。こんな表面的なことばかり必死に身につけるぐらいなら、黙ってデッサンして古典を読みまくったほうが近道である。映画でも小説でも古典には最も原点の、強力な物語のDNAが含まれている。手塚治虫がやってきたようにDNAからRNAに合成する過程で色々な変異があって漫画は面白くなってきた。新しい題材を探してきて若手に描かせる大手出版社は、RNAの複製だけを望んでいる。読者は何も気づかない。漫画家は何かに挑戦してしくじると、すぐ村八分だし、失敗できないし、世間ではエンタメが描けない漫画家は価値が無いとみなされるし、そういう奴はもう、俺みたいな奴はもう、絵を練習するしかない。凄い小さな歩幅でコツコツと。俺は努力が嫌いなのに!クソ世間が! 
 絵がもっと上手くなれば、どんだけふざけた事を描いても誰も文句を言わないだろう。 
 高尚なもんなんてひとつも描きたくない。かといって、サブカルおっさん達の様にわざわざ下品を気取ることも無い。オモロい漫画を描きたいだけだが、しかしそれにはまだまだ練習がいる。
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