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大山の日記未満

日記等

4月12日

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4月12日

4月12日

 昼起きて肩が痛い。頭が重い。雨が降っている。気象だ。昨日の夜から感じていた空気の淀み。自分は気候や、環境の変化に神経質すぎるところがありすぐダウナーになる。酒を飲んでもダウナーになる。人と話してもダウナーになる。でも人とは喋りたい。時々、おもろかった事がある。ボケて笑いをとったとき。でも自分は段々とおもろない人間になりつつある。小知恵がつくと人間はイキってばっかりで、おもろなくなる。楽しい人間ではない。今後、自分のテンションが上がるときはいつなのか。テンションが上がっても、テンションが上がっている自分を見つめている自分の為に、テンションが上がっている演技を自分に向けてしている気がする。じゃあ本当にテンションが上がったことがあるのか。演技ばかりしてきたのではないか。こんなに文章を書くのも、素の自分を発見したいからではないかと思うが、この文章は本心とも思えない。他人に向けて書いている。

 本当に頭の中が空っぽで、我を忘れたことがあるのか。酒も、気分が悪くなる瞬間が恐くて飲みすぎることができない。少しでも、胃に違和感を感じると、飲むのを止める。小心者である。泥酔できない。
 大阪の飲み屋でオカンに、なぜこんなに世の中の人は、楽しそうなんだい。と訊いたことがある。ほなら、「いや、みんなそんな楽しないで」と言われた。ああ、大人なんか。と思った。ほなら俺は大人ではないのか。正直すぎるアホなのか。中学からあまり内面が変わっていない気がする。皆んな自分より、もう少しおもろい人間に見える。自分はおもろないからおもろいものを観たり読んだりして、笑いについて考えて、せめて漫画はオモロないと終わってんなと思う。
 
 昼、今日までの三本の映画を観、雨のなか歩いてゲオに返しに行く。夕飯は昨日と同じく鍋。日本酒が飲みたいが我慢して作画に取り掛かる。漫画を描くとは酒とかを我慢することだ。酒を飲んで描ける人も居るが自分はできない。漫画を描き終わった後は、何もせず、すぐ寝るので酒は呑めない。一時間、独りで、おかきと酒を飲んでも何も旨ない。一人酒のおもろなさ。最近は日本酒しか飲まない。映画も今月はもう借りない。今月はあと四本みて終わり。

 町田康さんがなぜブログに何年も日記をつけてるのか分かった気もする。自分の戒めのためではなかろうか。最近の町田さんのブログは、四月に入り「無気力。」の記述が増えたり、また仕事寸土。など、気力が湧いたりしている。
 町田さんが出ているYouTubeの中原中也のドキュメンタリーを、何回目か観て、こいつはくすぶってんなと思う。俺が思ってる腹立つこととか、既に言うとるなと思う。小林秀雄から見ると、なんやヘラヘラした所もあったらしい。分かる。先月の文學界の町田康と伊藤比呂美の太宰治と中原中也についての対談はマジでオモロかった。おれは中原派。モテてないから。梶井基次郎も、石川啄木も、武者小路実篤も皆んな一回は、ぶっ殺す!と、どっかで書いたり言ってる。くすぶりすぎて、猫の耳をバチコン!したり、石膏を思っくそ割ったり、啄木に至っては橋の欄干に糞を塗りたくってる。キチガイや。お前らの気持ち分かる。やっぱり男は内面やで。モテる為には、友達を多くして、仲間を大切にして、楽しい青春を謳歌するのが良い。
 世の中がどんなに悪くなろうが、国家が腐ろうが、俺の眼に映る世の中は昔から変わらずクソなままだ。
 中原中也の詩を読むと、あの頃のぶち殺したいような気持ちを思い出す。


 
 テンピにかけて
 焼いたろか
 あんなヘナチヨコ詩人の詩

 百科辞典を引き廻し
 鳥の名や花の名や
 みたこともないそれなんか
 ひつぱり出して書いたつて
 ――だがそれ程想像力があればね――
 やい!
 いつたい何が表現出来ました?

 自棄のない詩は
 神の詩か
 凡人の詩か
 そのどつちかと僕が決めたげます


 テンピにかけて/中原中也
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