4月20日
虚脱感。雨が降っているせいで、頭の内側で石臼をゴロゴロひかれている気分。肩も痛いし、筋肉を伸ばすと、背骨がギシギシする。無気力になり気持ちも暗なる。
風邪のひき始めちゃうかと思って、改元を飲んで、寝て、起きている時間も忘れた。
昨日、田辺さんから貰ったバトンで描いた心霊写真の絵は、最近練習中の、今まで俺が描いてきたキャラからすると平凡な絵柄の、今風の可愛い女の子だけど、結構、自分の背景のジャギジャギしたテレキャスみたいな線と、馴染んでいる感じもして、やっぱりこっちの絵柄でも、行けんちゃうかと思った。
『奈良へ』の七話目と八話目で、密かに練習しているのだ。
自分はデビューしてから『東京市松物語』出すまでは、顔がオラウータンだったり、市松人形だったり、想像できる範囲で破滅的な風貌のヒロインしか描いていなかった。でも別にそんなことをしなくても自分の漫画は全然異質だった。
だからこれからはどんどん自分を無くしていく漫画を描く。そしたら、本当の自分に近づくことができる。
フツーの漫画を描けばいいんや。よくある漫画を。どこにでも置いてそうな漫画を。
小学生の頃、電車男が流行して、ニコニコ動画が出てきて、しばらくして、『涼宮ハルヒ』が出てきて『けいおん!』が出てきた。『らきすた』が出て『まどマギ』が出て『艦これ』が出てきた。『エヴァ』『ガンダム』もあった。
そのへんの作品を、観れるときに観といたら良かった。ガンダムのプラモデルは作っていたのに、アニメは観たことがない。
『ラブライブ』も、友達のかみなしが好きなのに、自分は観たことがない。
『けものフレンズ』も『映像研』も、観てみたほうがいいのか。でもその前に『鬼滅の刃』『進撃の巨人』『ワンピース』『遊戯王』(これも、カードゲームはしていたのに本編を知らない)『ハンターハンター』に『ナルト』に『BLEACH』『スラムダンク』やら読んでみないと、世間の人がどんなんが好きなのか分からんのではないやろか。
今さら、これら大量のコンテンツを観るのは、心が歪んで少年の心を忘れたので、結構しんどい。『ドラゴンボール』ぐらいは読んだほうがよい気がする。
長いと飽きてくる。『カイジ』と『ジョジョ』も、読むのを辞めて、『タッチ』もいつ、カツヤ死ぬねんとおもてるうちに、二巻で止まってしまった。
漫画でなければ、せめてゲームを、『ファイルファンタジー』『ドラクエ』『ポケモン』『どう森』やっておけば良かった。
夢のあるものを、もう少し、観たり読んだりしておいた方が良い。精神も病んでくる。
でもやっぱり二次元の女には、惚れることができないし、現実の女との出会いもないし、世界はバッファローのクソだし、人間は病んでいるし、首相はタニシだし、こんなクソ現実から目を背けていたいがどうも根がリアリストなところがあり、いまいち虚構に乗りきれぬ。
もともとライブとか、夏祭り、エアーガンやプラモデル、墓参りや読経も同じで、何かにつけ、コレは何の意味があるのだろう。いや元来、万物には何の意味もないのだから、などと、どうでもいい事ばかりにこだわる思弁癖があり、あらゆるものに熱中することができないタチだった。アイドルにハマる人の心も理解できない。Vtuberも魅力がわからない。
そうは言っても、日本のアニメは一流のエンタメで皆がハマる面白いモノらしい。
なのに、やはり乗りきれないのは、先ほど名前を挙げたような王道の漫画に馴染みが無かった為、あの特有のノリというか、共通のコードというか、そういうものに全く通じていないからで、いまだ少しの嫌悪感も感じるほどで、たぶん心の土壌が出来ていないのに、いくら種を撒いても何にも育たないという事で、その上、なまじっか漫画で劇作の技術を習得している為、批評的に物事を鑑賞する癖が出来てしまい、純粋に空気感を楽しむことができない。これではまるで団塊の世代、最悪やで。遅牛も淀早牛も淀。今から少しずつ観ていけば、じじい臭い俺も変われるはずや。自分の作品を省みると、なんというか「隠」が過ぎるというか、暗い人生という感じで嫌で、ああサブカルから遠く離れて。俺はオタクになりたい。こだわりも絵柄も全て破壊したほうがいい。全てなきものにしろ。胸いっぱいにナパームを詰め込んでるからな、銃弾で撃ち抜いてみてくれや。何にも残らへん焼け野原なるぞ。あとはスクラップ&ビルドや、そして俺は電車男になる。地獄への超特急や。何をさっきから訳の分からないことを言っているのか。もう電気の板を見るのに疲れた。何のやる気もしない。情熱もない。一歩たりとも動きたくない。外は雨だし、気象のせいで何もかもグズグズになる。いま、何となくバッドホール・サーファーズを聴いてしまったので、益々気分が悪くなる。心霊写真を元ネタに絵を描いたせいもあるだろう。仏壇の前でシコったせいもあるだろう。呪われたに違いない。何の意味もない言葉のつらなりが続く。いい加減、毎回毎回、自分の事ばかり語るのも恥ずかしくなってくる。漫画のことは、自分の考えを言葉にしても何の意味もない。全て詭弁になる。結局漫画のことは、頑張って描いて、漫画で伝えるしかない。